インターネットが普及する前、手紙は相手に気持ちなどを伝える唯一の手段でした。
今でも手紙を書くときは相手を思いやり、立場を考えマナーを守って書くことが大切になってきます。
会社や事務所の移設、社名変更や社長や役員の交代などで、挨拶状を出す機会は多いと思います。
挨拶状だけでなく、災害のお見舞いや何かの賞を受賞した方に向けてなど、ビジネス関係でお手紙を送る場合も多いと思います。
そんなとき、いざ書こうとしても何を書いていいのかわからず、手が止まってしまう方もいるのではないでしょうか。
ということで、今回は、ビジネスで送る案内状などの書き方と、文例についてご紹介します。
ビジネス文書の挨拶状で書くべき内容とは
それでは早速、ビジネス文書として送る挨拶状で書くべき内容やポイントについて紹介していきます。
ビジネス文書の構成
挨拶状などももちろんですが、一般的に手紙を書く時の構成としては、
- 前文
- 主文
- 末文
- 後付け
の順に書いていきます。
これだけだと少し分かりづらいかと思うので、ひとつずつ説明していきます。
前文
前文は、いわゆる手紙での挨拶のようなものです。
これはいきなり用件などの本文に入るのを避けるために用いられます。
例えば、もし要件を伝えたい相手と会ったとき、「こんにちは」の挨拶もなしにいきなり要件を伝える人はいないですよね。
手紙でも同じように、挨拶をする必要があり、それがこの前文にあたります。
朝にはおはようございます、日中はこんにちは、と決まった挨拶をするように、大体のルールは決まっているので説明していきます。
前文は基本的に、
- 頭語
- 時候の挨拶
- 相手の体調などを尋ねる文
を書きます。
頭語と結語
手紙の文章の一番始めに持ってくる「拝啓」や「謹啓」などの言葉を「頭語」といい、「とうご」と読みます。
また、それとペアになるのが、文章の最後に持ってくる「敬具」や「敬白」などの言葉を「結語」といい、「けつご」と読みます。
アンジェラ・アキさんの『手紙~拝啓 十五の君へ~』は皆さん一度は耳にされたことがあるかと思いますが、この歌のメロディの最初にも「拝啓」という言葉が使われていますね。
では、よく使われる代表的な頭語、結語をご紹介します。
一般的な手紙の場合、
拝啓(頭語)、敬具(結語)
丁寧な手紙、目上の人への手紙の場合、
謹啓(頭語)、敬白(結語)
などです。
ビジネス用の挨拶状では、謹啓・敬白が用いられることが多いです。
「拝啓」などは皆さんも聞いたことがあると思いますし、割と親近感のある言葉だと思いますが、「謹啓」「敬白」は聞き馴染みがなく、少しかしこまった感じになりますね。
時候の挨拶
時候の挨拶は、季語などを含め、季節の変化や寒暖を表す挨拶であり、また相手の健康を気遣う意味もあります。
月ごとに大体決まっているので、少しご紹介します。
- 1月:お正月気分も抜けてますます寒さが厳しくなってきました。
- 6月:梅雨に入り、うっとうしい毎日が続いています。
- 9月:コスモスが風に揺れ、朝夕はしのぎやすくなって参りました。
- 11月:朝晩はめっきり寒くなって参りました。
などがあります。
また、
- 1月:新春の候
- 2月:立春の候
などといった、「〇〇の候」という書き方もあります。
必ずこれでなきゃいけない、という決まりはないので、手紙を書くときに「いま(〇月)は、どんな時候の挨拶が使えるのか」調べてみても面白いと思います。
また、時候の挨拶にはお正月や梅雨などの季語が含まれており、日本古来の美しさも感じられますね。
相手の体調などを尋ねる文
送る人(または会社)にあてて、体調などを気遣う文章です。
人の場合、「◯◯様におかれましてはお元気でお過ごしのこととお慶び申し上げます」などと書きます。
会社の場合、「貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます」などと書きます。
頭語や時候の挨拶などのように決まってはいないので、自分が相手のことを気遣っていることが伝わるように書きましょう。
前文を書くときの例文
それでは、具体的な前文の例文を見ていきましょう。
梅雨も開け、本格的に夏らしさを感じる暑さとなってまいりました。
貴社の皆様もいかがお過ごしかと案じております。
こちらは梅雨の明けた7月、8月頃に使う前文になりますね。
気温が高くなってきたことを受け、社員の健康を気遣う言葉が入っています。
謹啓
〇〇の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご厚情を賜わり深くお礼申し上げます。引用元:https://www.printmate.co.jp/postcard/model_101.php#ex1
こちらは、PRINTMATE(https://www.printmate.co.jp/)から引用してきたものになりますが、こちらは時候の挨拶をあてはめるだけでそのまま使えるすぐれものです。
主文
ここには、手紙の本文として、主にその手紙で伝えたい内容を書きます。
用件やお礼を伝える部分なので、なるべく具体的に書くようにしましょう。
もちろんですが、前文にならって、正しい敬語を使うようにしましょう。
末文
ここでは、手紙の締めとして、気遣った表現を用います。
相手の健康を気遣った言葉や、相手の未来への期待として「ご活躍をお祈り申し上げます」などと書きましょう。
また、忘れずに前文のところでご紹介した頭語とペアになる結語で締めます。
結語は末文の最後の行の次の行の一番下に書きます。
末文のを書くときの例文
これからも従業員一同、皆様へのサービス向上を目指して精一杯業務に励む所存でございます。
なにとぞ倍旧のご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
略儀ながら書中をもってご通知かたがたご挨拶申し上げます。
敬白引用元:https://www.printmate.co.jp/postcard/model_101.php#ex1
微力ではございますが、弊社におきましてもできる限りのご協力をさせていただきますので、今後ともご厚誼のほどよろしくお願い申し上げます。
敬白引用元:https://www.printmate.co.jp/postcard/model_201.php#ex1
相手の会社に向けて書かれているので、相手の会社で新しい社屋の設立や社長の就任があったことを受けての手紙に用いる末文になります。
後付け
最後に、
- 手紙を書いた日付け
- 差出人
- 宛名
を書いて終わりになります。
ビジネス文書を書くときの参考にできるおすすめサイト
「PRINTMATE 挨拶状文例集ビジネス」というサイトで、先程例文をご紹介したときに引用させていただいたサイトになります。
こちらのサイトでは、会社・事務所移転、社名変更から、組織変更、株式上場まで、幅広い用途にあった文例が用意されています。
書きたい用途をクリックするだけで、その用途にあった例文がいくつか出てくるのでとても簡単に探すことができます。
種類も豊富で、自分の送りたい内容や雰囲気にあったものがあると思います。
まとめ
今回はビジネス挨拶状の書き方についてご紹介しました。
挨拶状を書く上で大切なことは、相手の健康などを気遣うことと、正しい敬語を使うことです。
わざわざ時間をとって読んでいただいているので、失礼のないような文章を書くように心がけましょう。
また、お礼やお詫びのお手紙はできるだけ早く書くようにしましょう。
これは手紙や挨拶状に限ったことではありませんが、謝意を伝える場合はなるべく早く、気持ちが冷めないうちに相手に伝えることが重要です。
挨拶状などを無料で印刷できたりするテンプレートを紹介しているサイトもありますが、一般的に、手紙は直筆のものを受け取ったほうが嬉しいものですので、是非こういったお手紙は「自分で」書いて送るようにしましょうね。