身内の方が亡くなったときには、喪に服す「喪中」を迎えます。
故人を偲びながら、亡くなった方の近親者が、一定期間、外出や社交的な行動を避け身を慎むようすることになります。
奈良時代や江戸、明治時代までは法律でも定めがあったようですが、現在は法律による定めなどはありません。
近親者が亡くなったことで悲しみを感じている間は喪中であるともいえるようです。
この期間にはお祝いの場への出席を控えたり、神社へのお参りは控えたほうがいいようです。
特におめでたさ満載の「正月」。
新年を迎えての祝いや初詣など「喪中なんだけど…」と気になることも沢山ありますよね。
そんな中で、慎みたいこと・気をつけたいことをまとめてみました。
喪中の時の新年の挨拶
新年のあいさつでよく使われるのが、「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」という感じではないでしょうか。
めでたい(祝い)を指す「おめでとうございます」の表現は避けなければなりません。
喪中であることを知らせている場合、年賀状などは出しませんよね。
どうしても出したい場合には、「おめでとうございます」は省略するように書けばOKです。
年明けに会ったときは、「昨年はお世話になりました。今年もよろしくお願いします。」という表現でいいかと思います。
最近は年賀状ならぬ年賀メールも流行しているようですが、こちらも同じです。
祝いを意味する「おめでとう」を使わなければ、大丈夫です。
逆に、言われる分や年賀状が届く分には問題はありません。
もし、喪中葉書を出していない方から年賀状が届いてしまったら、門松をしまう「松の内」(1月7日)を過ぎてから、寒中見舞いを出すといいですね。
その際、「喪中のため、年頭のご挨拶を遠慮させていただきました。本年もよろしくお願いします」というような件を入れておくと相手にも伝わりやすいです。
正月のしめ飾りや鏡餅は飾っても大丈夫なの
世間一般の常識では、しない方がいいと思います。
ただ、故人が毎年楽しみに飾っていたり、湿っぽいのが好きではなかったりすると、故人の思いに反することになるので、家の中だけで、少しだけ飾って故人と思いをはべらせる雰囲気を作るのもいいかもしれません。
外に向けて飾ると、周りの人から非常識と思われたり、知らないのであれば教えたほうがいいのかなどと気を遣わせることになりますので、こちらは控えておきましょう。
おせちは食べてもいい
おせちは、祝い事の料理になるので、控えた方がいいと言われることもありますが、元々、おせち料理は「本年も豊作を願い家族の安寧を祈る」ことと、「三が日は台所に入らないよう日持ちする料理」の意味があります。
なので、喪中だからといって食べない方がよいということはありません。
気をつけたいのは、献立のなかには紅白かまぼこ、紅白なます、鯛(尾頭付き)など「おめでたい」を連想する料理がありますので、このような料理はさけるなど献立に工夫が必要になりそうですね。
お年玉はあげてもいいの
もらう方はもちろん、あげる方も中には喜ぶ顔が見たくてと、お年玉はみんな楽しみにしているものです。
喪中だからということで避けるのは忍びないものです。
お年玉は、「歳神(としがみ)様」に供えた鏡餅を、参拝者に配ったのが始まりとされており、元々は神事なので、お年玉をあげたりもらったりするのは、何の問題もないようです。
ただし、祝いを避けるため、紅白の水引のついたポチ袋は避けておいた方がいいですね。
気になる場合は、お年玉とは言わずに、お小遣いとして渡すのもいいかもしれません。
初詣に行っても大丈夫なの
初詣については、神社と寺社で考え方が違うようです。
神社の場合、死を「穢れ(けがれ)」としているので、控えたほうがよさそうですが、その期間などそれぞれの神社によっても違うようなので、行こうと思っている神社に直接聞いてみるのが確実ですね。
基本的に忌があけたら、神社へのお参りは大丈夫なので、初詣も行かれて問題はないです。
お寺の場合は、死を「穢れ(けがれ)」と捉えないので、参拝することは特に問題はありません。
また、宗教、宗派によっても捉え方の違いがあるようですので、興味がある方は調べてみるのもいいかもしれませんね。
まとめ
日本では古来より「死は穢れ(けがれ)たもの」という考えが定着してきました。
「忌中」は、その穢れを祝いの場へ持ち込まない、殺生をしてはならない期間であるため、いろいろと控えた方が良いようですが、「喪中」は死者を偲ぶ期間になりますので、本人の気持ち次第の部分もあるようです。
正月についても、あまりに非常識と思われない程度であれば、過ごしたいように過ごせばいいのではないでしょうか。
法律にしろ、慣習・風習にしろ、その時々の人間の価値観から生まれてきたものです。
時代が変わり、価値観が変わってくれば、それらも変わってくるのではないでしょうか。
喪中に迎える正月なら、タブーであると一般的には考えられているものも、少しずつ変わってくるのかもしれません。
ちなみに我が家では、故人が新年の挨拶をとても大事にしていたこと、ちびっ子たちにお年玉をあげるのをとても楽しみにしていたこともあり、ちびっ子たちには仏壇に向い、
「去年はありがとうございました。今年はお空の上からみていてください。」
という挨拶と、仏壇に故人から最後の手紙つきのお小遣い(お年玉)を仕込んでおくという、趣向を凝らしてみました。
孫たちの驚きと喜びの姿を見て、きっと喜んでもらえたものと勝手に思ってます。
個人的には、喪中ではあっても、故人の生前と変わらず過ごすこと、心のなかでともに過ごすことが偲ぶことになるのではないかと思います。
とはいえ、親族・家族の中でもいろいろな考え方があるでしょう。
身内としっかり話ながら、心穏やかに正月を迎え過ごせることが故人にとってもなによりなのではないでしょうか。
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