年の暮れが近づいてくると気になってくるのが年賀状ではないでしょうか。
いつものやり取りであっても、それが喪中となると、少し事情が変わってくると思います。
とはいえ、年に一度の機会です。
喪中はがきが届いたけれど、日頃の感謝や「来年もよろしく」との言葉を送りたい。
令和になったばかりだし、新年のあいさつをしたい。
そう思うこともあるかもしれませんよね。
遠方に住んでいる友人の場合であれば、喪中はがきで不幸があったと知るということも多く、一言励ましの言葉を送りたいと思うこともあるでしょう。
喪中の相手に年賀状を出すことは絶対にダメなのか?
今回は、「相手は喪中ではあるけれど、年賀状を出す側としては、どうしても出したい」というときに知っておきたいことをまとめてみました。
喪中の相手に年賀状を出すということ
喪中とは、親しい親族が亡くなり、遺族が喪に服す期間のことをいいます。
この間は派手なことは慎み、お祝い事は避けるようにします。
喪中の人が年賀状を出さないのはこのためもありますが、日本古来の「けがれ」という考え方が関わっています。
年賀状を出すことで「けがれ」を他人に移さないようにするために、喪中はがきで「喪中なので新年のご挨拶を失礼させて頂きます」というお知らせをしているのです。
今では「けがれ」を移さないためというよりは、悲しみのために新年を祝う気持ちになれないという意味合いの方が大きくなっているようです。
そのため、出す側が喪中でなければ、受け取る側が喪中であっても、何ら問題はありません。
ただし、悲しみにくれているところに、ただお祝いの言葉だけが届くのは何とも言えない気分になってしまうことでしょう。
ましてや、故人が家族だったとしましょう。
家族を失った悲しみに沈んでいるところに、家族の仲睦まじい写真が載せられていたりすればなおさらだと思います。
しかしながら、2013年に調査された「年賀状喪中マナー実態調査」では、喪中だった人たちが、「喪中時に年賀状をもらえず寂しかった」と、多数回答していることも明らかに。
やはり、喪中であっても、新年に知人や友人からの便りが届くというのは嬉しいものなのではないでしょうか。
そこに、心情に寄り添った温かい言葉が添えられていればなおさらでしょう。
年賀状が送られてくることが、支えになることもあるのでしょうから、
もし、送るのであれば、細やかな心配りの行き届いた新年のあいさつにして送りましょう。
新年の挨拶状は年賀状だけではない
新年の挨拶状は年賀状である。
このように思いがちですが、「新年のあいさつを届ける手段」は年賀状だけではありません。
- 年始状
- 寒中見舞い
この二つの方法で、新年のあいさつを届けることができるのです。
では、それぞれについて、もう少し詳しく見てみましょう。
年始状
「謹賀新年」や「あけましておめでとう」などのおめでたい言葉である賀詞を書かない年始の挨拶状です。
歴史的にはあまり古くはありません。
東日本大震災の翌年から利用される方が増えてきているようです。
最近では地震や台風・大雨などで被災された方に出すという人もいます。
喪中はがきを頂いた場合の返事に、年始状を送る方もいますし、喪中はがきを出さずに年始状を送る方もいるようです。
年始のあいさつに用いることができるので、さまざまな使い方があります。
ここで注意したいのは、今回は「喪中の相手に宛てて、年賀状を出したい」ということです。
その年賀状の代えとして、年始状を出すのも1つの方法であるということです。
故人を亡くし悲しみとともに偲んでいる、その心情に寄り添い、相手の気持ちを気遣った一文を添えておくのも忘れないようにしたいところです。
昨年は何かとお世話になり誠にありがとうございました
お静かに新年をお迎えの事と存じます
故人のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに新年が穏やかな年となりますよう心からお祈りいたします
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます
令和〇年〇月
このように、相手の心情を汲みつつ、あくまでも新年のあいさつをメインに伝えることができるといいと思います。
寒中見舞い
喪中はがきが届いた時には、年賀状は出さずに寒中見舞いのはがきを出すようにしている方も多いのではないかと思います。
やはり、ここでも相手の気持ちを気遣った一文を添えておきたいところです。
寒さ厳しい折おかわりございませんか
服喪中とのことで年始のご挨拶は控えさせて頂きました
故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます
寒さ厳しいお体を大切にお過ごし下さい
令和〇年〇月
と、いう感じがよいと思います。
一年で一番寒い季節に相手の健康を気づかって出すもので、1月7日の松の内があけてから立春までの間に出すとされています。1月7日を過ぎてすぐ配達される位がいいので、1月5、6日頃に投函するといいと思います。
まとめ
年賀状、どうしても出したいと思う相手がいるかもしれません。
もし、相手が喪中だと知らされたとしても、出す側としては、何とか年賀状を出したい。
そういう相手もいるでしょう。
しかし、喪中の方に年賀状を送るのは、相手の状況を見極めることが必要なようです。
「自分が出したい」の気持ちとともに、相手に「受けとりたい」「欲しい」という気持ちがあると、いうことはないですね。
また、送られてきて嬉しかったと思われるに越したことはありません。
年賀状という形にこだわらず、年始状、寒中見舞いなどを送るのもいいかもしれません。
大切なのは年賀状を送ることではなく、相手を思いやること。
そして、「感謝の気持ち」と「これからもよろしくね」という思いを伝えることなんだと思います。